今、基礎科学の分野では、質量の起源とされるヒッグス粒子の性質解明や未知の粒子発見
などにより宇宙誕生の謎に迫る「国際リニアコライダー(ILC)計画」が研究者の間で進
められています。
この計画は、国内のみならず海外の優れた研究者が結集する素粒子分野の大規模プロジェ
クトであり、ILCが日本に建設されれば、人類の共有財産である知の創出や、世界を先導
する人材の育成に大きく貢献することができます。
また、資源の少ない我が国において、新たな成長に向けた科学技術イノベーションを作り
出すことで、今後の社会・経済のさらなる発展につながります。
福岡・佐賀両県にまたがる脊振地域は、ILC建設の有力な候補地となっています。この
ため九州・山口地域では、これまで「先端基礎科学次世代加速器研究会」(会長:小柴昌
俊 東京大学特別栄誉教授)を中心に、ILC計画の実現に向けた基礎科学への理解促進活
動などを展開してまいりました。
また、平成24年3月には、我が国におけるILC誘致の意義を明らかにするとともに、ILCを
核とした国際研究都市づくりの具体的な方向性を示す「サイエンスフロンティア九州構想」
を策定し、ILC計画を国家プロジェクトとして取り組むよう各方面に働きかけてきました。
このような中、去る2月1日、国会議員の超党派による「リニアコライダー国際研究所建設
推進議員連盟」が再出発するなど、ILC計画の実現を目指す動きが加速しています。ILC計
画は、世界各国の協力があって初めて実現するビッグプロジェクトです。我が国がILC計
画を実現するには、世界の第三極と言われるまでに発展してきたアジアの力を結集し、各
国の理解を得ながら誘致を進めることが重要です。九州・山口地域は、歴史的、文化的に
アジアと日本のクロスロードに位置し、アジア諸国と連携、協力しながら共に発展してき
ました。「アジアの候補地・日本」におけるILC計画の実現に大きく貢献することができ
ます。
これまでの活動を礎に、さらに取組を強化し、アジアの候補地である日本、さらには九州
でのILC計画実現を目指すため、九州・山口地域の産学官政が一体になって「ILCアジア‐
九州推進会議」を設立することとしました。
平成25年2月14日
代 表 | 石橋 達朗 | 九州大学総長 |
代 表 | 倉富 純男 | 九州経済連合会会長 |
事 務 局 一般社団法人 九州経済連合会